ご依頼者様:40代、男性

被疑事実:盗撮

被害者の保護者へのお詫びという難しさ

駅のエスカレーターで女子高生を盗撮したところを、警戒していた警察官に目撃され、その場で検挙されたという事案です。

一般的に、被害者が未成年である場合には、保護者に連絡を取り、お詫びをすることになります。このケースでも、被害者にお詫びをしたいと検察官に伝えたところ、被害者の母親と連絡を取れることになりました。

被害者の母親に連絡をしたところ、非常にお怒りでした。最近では、盗撮した画像がネットに公開されてしまったりすることもありますから、母親として、そうした不安があることなどは非常に理解できるところです。そのため、母親は当初、示談することは絶対にないと言っていました。

示談交渉の目的

示談交渉と言っても、「許してもらう」ことが目的ではありません。それは単なる結果であって、一番重要なのは、被害者の方の不安を取り除くことです。

お詫びをするにあたって、ご依頼者様には、事件を起こしてしまったこととどう向き合うのか、今後このようなことをしないためにどうすれば良いのか、しっかりと考え、そのための対策を行ってもらっていました。

被害者の不安を取り除く

例えば、盗撮に使った携帯電話は、盗撮した画像を警察で削除した上で返却されます。ただ、データの復元なども技術的には可能ですから、携帯がご依頼者様の手元に残ること自体が、被害者側にとっての不安材料となってしまいます。

そこで、携帯電話を私が預かって、責任を持って処分し、その証拠を母親に示す、といったことをしました。

お詫びの気持ちを伝える

私は、被害者の母親と何度かお会いして、こうしたご依頼者様の取り組みを粘り強く伝えました。そうしたところ、ご依頼者様の反省や謝罪の気持ちが伝わったようで、最終的には、「今回に限っては処罰を求めない」と言っていただくことができました。

当初は厳しい状況が予想された中でも、諦めずに粘り強く話合いを続けることが大切だと、改めて感じさせられた事案でした。