痴漢(迷惑防止条例違反)
電車やバス内などで、女性の身体を服の上、下着の上から触ったりすると、痴漢にあたります。なお、下着の中にまで手を入れて、しまうと不同意わいせつとして処罰されます。
痴漢は、各県が定める迷惑行為防止条例違反などで規制されており、罪の重さなどは各都道府県によって若干異なります。多くの条例では、公共の場所などで痴漢をした場合が対象になっているため、職場など、公共の場所とは言えない場所などで痴漢行為をした場合は、強制わいせつ罪で処罰されることになります。
痴漢事件では、初犯であれば、ほとんどの場合罰金刑となります。
ただ、被害者に対して適切にお詫びをし、その結果、被害者に処罰を求めないと言っていただければ、かなり高い確率で不起訴処分になります。不起訴処分となれば、前科がつきません。
一方、被害者と連絡が取れない、被害者にお詫びを断られてしまったという場合には、原則的には罰金刑となってしまいます。しかし、このような場合でもあっても、弁護士が検察官と交渉することで、不起訴処分になる場合もあります。
繰り返し痴漢を行って検挙されている場合などは、起訴されて裁判になる可能性も出てきます。
ただ、そうした場合であっても、被害者に適切にお詫びし、検察官と交渉すれば、罰金で済んだり、不起訴処分になる場合もあります。また裁判になった場合でも、執行猶予付の判決となり、刑務所に行かないで済みます。
不同意(強制)わいせつ罪
女性の下着の中にまで手を入れて身体を触ったり、相手が望んでないのに無理やりキスをしたり、胸を触ったりするなど、わいせつな行為をしてしまうと不同意わいせつ罪(2023年7月13日より施行。旧強制わいせつ罪。)として処罰されます。
改正前の強制わいせつ罪では、暴行や脅迫を伴うことが要件とされていましたが、不同意わいせつ罪は、同意しない意思を形成、表明または全うすることが困難な状態にさせ、あるいは相手がそのような状態にあることに乗じてわいせつな行為をした場合にも成立することとなり、処罰範囲が拡大されました。具体的には、相手が
①暴行若しくは脅迫を用いることまたはそれらを受けたこと
②心身の障害を生じさせることまたはそれがあること
③アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること
④睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること
⑤同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと
⑥予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること
⑦虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること
⑧経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること
という状態にある場合には、被害者が「同意しない意思を形成、表明または全うすることが困難な状態」にあると判断されるとしています。
法務省の見解では、これまでの強制わいせつ罪の処罰範囲を広げるものではないということですが、実際は処罰範囲が広がると懸念されています。
同意があると思っていても、お酒を飲んでいたりした場合には、不同意わいせつ罪が成立する可能性がありますので、注意が必要です。
不同意わいせつ罪は、6月以上10年以下の懲役となる罪であり、重大犯罪です。強制わいせつの際に相手に怪我をさせると、無期または3年以上の懲役となり、非常に厳しい処罰がなされます(裁判員裁判になります。)。
不同意わいせつ罪には罰金刑が定められていないので、起訴される場合は必ず裁判になります。
以前は、被害者に対して適切にお詫びをし、その結果、被害者に処罰を求めないと言っていただき、告訴が取り下げられることになれば、不起訴処分になりました。現在は非親告罪となりましたので、必ずしも不起訴処分になるわけではありません。しかし、しっかりと謝罪することは、刑事処分上、評価されます。
一方、被害者と連絡が取れない、被害者にお詫びを断られてしまったという場合には、裁判になります。このような場合には、執行猶予付の判決となるように、裁判所に反省していることを示す必要があります。
繰り返し強制わいせつを行って検挙されている場合などは、刑務所に行くことになる可能性が高いです。
ただ、そうした場合であっても、被害者に適切にお詫びをすることで、不起訴処分になる場合もあります。また裁判になった場合でも、執行猶予付の判決となり、刑務所に行かないで済むこともあります。
前科を付けたくない、刑務所に行くことになるか不安という方は、痴漢事件に強い熊本市中央区のアロウズ法律事務所の弁護士にご相談ください。