少年事件として扱われるのは、原則として、罪を犯したり、犯罪をおかす可能性があったりした者が、20歳未満の場合です。

少年法は、多くの部分で、成人の刑事事件とは異なる定めをしており、例えば、犯罪行為をした年齢や、犯罪の内容などによって手続きを変えています。

これは、少年法の目的が、罪を犯した少年を単に罰するのではなく、少年の非行性を取り除いて、将来再び犯罪行為を行わないようにするなど、「更生」に重きを置いているからです。そうした点で、成人の刑事事件とは、目的を異にしているのです。

なお、「少年事件」といいますが、ここでいう「少年」とは、女子も含まれます。

少年事件では、①逮捕・勾留されるか②鑑別所に送られるか③最終的な処分はどうなるか、という3つの大きな分岐点があります。

まず、重大な事件であれば、逮捕・勾留されることが多いです。ただ、少年に対する勾留は慎重に行うこととされていますので、成人の事件よりは、勾留される可能性は一般的には低いです。

次に、鑑別所に送るかどうかを家庭裁判所が決めます。逮捕・勾留されている場合は、基本的には鑑別所に行くことになります。ただ、事情によっては鑑別所に行かなくてもすむ場合があるので、弁護士をつけて家庭裁判所にその事情を分かってもらうというのも有効な方法です。

最後に、家庭裁判所が、最終的な処分を決めます。犯罪行為の重大さや、家庭環境、交友関係、仕事の状況など様々なことを考慮して、処分なしとする「不処分」や、「保護観察」「少年院送致」などが決められます。

事件の重大性から、成人と同じ刑事手続で判断されるべき場合には、「逆送」といって、検察官に事件が送致され、検察官が再度捜査して、起訴・不起訴を決めることになります。

少年事件では、少年本人に、事件を起こしてしまった原因や、今後どうしていくかということを考えてもらうことが何より重要ですが、それだけでなく、家族関係や、交友関係を再構築することも同じくらい重要です。

当事者だけではなかなか難しいそうした作業を、弁護士が間に入り、時にはクッションになり、時にはかすがいになり、寄り添いながらサポートしていくのが少年事件での弁護士の役目です。

事件を起こしてしまったのは悲しいことですが、これまでの親子関係を見つめ直す機会でもあるということは、心に留めておくべきことでしょう。