ご依頼者様:40代、男性

被疑事実:迷惑防止条例違反

ご相談内容

ご依頼者様は、ある日の夜、酒に酔った状態で路上を歩いていた際、意図せず近くにいた女性の身体に接触してしまいました。後日、この件について警察から連絡があり、迷惑行為防止条例違反の容疑で捜査対象となっていることを知らされました。

ご依頼者様は安定した職業に就き、ご家庭もお持ちでしたが、今回の件で逮捕されたり、報道されたり、あるいは刑事罰を受けることになれば、職を失う可能性や社会的な信用を大きく損なうことを大変危惧されていました。また、ご家族もこの事態に大きなショックを受け、ご依頼者様が今後どうなってしまうのか、深い不安を抱えておられました。

何とか穏便に解決し、日常生活を取り戻したいとの思いから、当事務所にご相談に来られました。

依頼後

ご依頼をいただいた後、弁護士はまずご依頼者様から詳細に当時の状況や経緯を聴取し、事件の全体像を把握しました。その上で、速やかに被害を受けたとされる女性側に連絡を取り、謝罪と示談交渉を開始いたしました。

ご依頼者様は、ご自身の行動について深く反省されており、その真摯な気持ちを被害者の方に伝えるため、弁護士の助言のもと謝罪文を作成されました。また、ご依頼者様の奥様も、今後ご主人をしっかりと監督していくことを誓う書面を作成し、ご家族としても深く反省している旨を示しました。

弁護士がこれらの書面を持参し、ご依頼者様の謝罪の言葉を真摯にお伝えした結果、被害者の方との間で、一定額の被害弁償金をお支払いすることで示談を成立させることができました。示談書には、被害者の方がご依頼者様の処罰を望まないという宥恕(ゆうじょ)の文言も入れていただくことができました。

さらに、ご依頼者様は、今回の事件では特定に至らなかったものの、事件当時にご迷惑をおかけした可能性のある方々に対しても、反省と贖罪の気持ちを示したいとのご意向でした。そこで、弁護士の提案により、犯罪被害者の支援活動を行っている公益財団法人へ贖罪寄付を行いました。

これらの活動を踏まえ、弁護士は、ご依頼者様が深く反省していること、被害者の方と示談が成立し宥恕の意思が示されていること、前科前歴がないこと、ご家族による監督体制が整っていること、そして贖罪寄付を通じて社会全体への謝罪の気持ちを表していることなどを詳細に記載した意見書を作成し、担当検察官に提出しました。

解決のポイント

本件が不起訴処分という最良の結果で解決できたポイントは、以下の3点に集約されます。

迅速な被害者対応と宥恕付き示談の成立: ご依頼後、直ちに被害者の方へ誠意ある謝罪と交渉を行った結果、早期に示談を締結でき、さらに処罰を望まないという宥恕の意思表示を得られたことが、検察官の判断に最も大きな影響を与えました。
家族によるサポートと再犯防止への具体的な取り組み: ご依頼者様ご本人の反省に加え、奥様による監督の誓約や、二度と同様の過ちを繰り返さないための具体的な環境調整について説得的に示すことができました。
贖罪寄付による反省の意思の表明と検察官への的確な主張: 被害者の方への謝罪のみならず、社会全体に対する反省の気持ちを贖罪寄付という形で示したこと、そしてこれらの有利な事情を網羅した意見書を検察官に提出し、不起訴処分が相当であることを強く働きかけたことが功を奏しました。
これらの弁護活動の結果、ご依頼者様は不起訴処分となり、前科が付くことなく、職場やご家庭への影響も最小限に抑えることができました。ご依頼者様とご家族は、大変安堵されたご様子でした。